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【ノジマチャンピオン杯/FR】ひとり二桁10アンダーでシニア2勝目を挙げた兼本貴司は、裏付けされた自信があった

2024年04月19日
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 「ノジマチャンピオンカップ箱根シニアプロゴルフトーナメント」の最終ラウンドは6アンダー首位でスタートした兼本貴司(53)がスコアをさらに4つのばし通算10アンダーで優勝。兼本は2022年大会に続き同大会で2勝、シニア通算2勝目は完全優勝を飾った。首位3打差2位には片山晋呉(51)と前年覇者のI・J・ジャン(51)が続いた。最終ラウンドを70ストロークでプレーした髙橋勝成(73)がエージシュートを達成した。

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 箱根カントリー倶楽部は標高700メートルという位置にあるため、春の訪れも時期が少しだけ遅くなる。大会最終日はコースに春の日差しが注ぎ、春の草花が一気に咲き揃ったところだ。グリーンスピードは11と2分の1。コンパクションは24。そこへ冷たい乾燥した北風がコースに流れ込み、選手のゲームプランを錯乱させた。

  最終ラウンド首位からスタートする兼本貴司には、2年前に優勝した時の最終ラウンドに比べると、自信がみなぎる「裏付け」があった。前日もパッティングのフィーリングも合う。ロングショットもセーフティーゾーンに運べている。今年の開幕戦に用意されたのは広いコースで、得意のドライバーは安心材料になっていた。

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 スタートは打ち下ろしの1番パー4。ドライビングアイアン(2番)は残り115ヤードまで運んだ。56度のウェッジを振り抜くと、グリーンキャッチした球はバックスピンでグリーン左手前まで戻ってしまった。難しいライからの状況で、同組のイエーツは兼本と同じエリアからアプローチをショートしてミス。兼本のアプローチはピン奥まで転がり、奥から下りのパッティングが合わせられずにボギースタートにしてしまう。

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 それでも焦りはなかった。3番をバーディーで取り返し、5番パー5では20メートルのイーグルパットを冷静に寄せて2つ目のバーディー。8、9番で連続バーディーを仕留め、前半で3つスコアを伸ばした。途中のリーダーボードで、後続の片山、深堀がスコアを伸ばして1打差につけていたが、「気を引き締めて挑むのであれば、負けてもしょうがない」と焦らずに切り替えられるようにもなっていた。

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 我慢の続くバックナイン。北風も吹き荒れてきたが13番でさらにスコアを伸ばし集中力を高めていった。後続がスコアを落とし3打差が見えた残り3ホールから「逃げなきゃ」と優勝に向けてグリーンオンさせることだけを考えた。最終18番でパーパットを沈めると、仲間から祝福のウォーターシャワーが待ち受けていた。両腕を天に伸ばし、全身ずぶぬれで嬉しさを爆発させた。「ありがとう!」とライバルの存在にも感謝を伝えた。

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 実は兼本、2年前の大会でも「65ー67」と同じスコア。最終予選会からノジマチャンピオン杯へ出場資格を獲得したということも因縁だ。「そうですね、この大会との強い縁を感じますよね。大好きなコースから力をもらっているので、実力以上のものが発揮できましたね」と大会を振り返り、控えめにうなずいた。

 スタート前に感じていた自信がみなぎる「裏付け」には、悔しさから生まれた相当量の練習があった。「昨年シード落ちしてからは、気づけば1日9時間練習していました。寒い1月に身体の調子が良かったのもあって、そのエネルギーを練習に費やそうと。トレーニングにラウンド、そのあとに練習場で打ち込んで。アライメントを重視した練習をしていました」と兼本は取り組みを振り返った。「昨シーズンは当たった感じとスイングの感じに違和感があって、だんだんとフェースが開きだすと、あおっているような状態になって。わざわざスイングを難しくしていたんです」と分析する。

 

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 2年前のノジマチャンピオン杯優勝で「GC4」(ジーシークアッド)という弾道解析機器を購入していた。「妻を何度も説得して買ってもらった高級品」だという。1日9時間の練習では、クアッドをフル活用して自分のゴルフを徹底して可視化した。球の出方、スピン量という数値からミスの原因を分析し続けた。自分が納得する数値まで練習を止めなかった。それは自分を前向きにさせてくれる大きな理由付けになっていた。

 

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 シニア2勝目を経て「またアメリカに行きたいです」と目標を口に出した。「昨年挑戦したアメリカのシニアメジャーでは刺激を受けました。フレンドリーだし、敵対視もない。練習場では手本となる人がそこらじゅうに(笑)。参考になったのは、やっぱりアーニー・エルス。彼のスイングをイメージしたら、全米シニアオープンの2日目に67のベストスコアが出ましたね」といい、アメリカとの相性も悪くないことを感じていたようだ。

 

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  優勝会見もそろそろタイムアップ。兼本は「幸せな一日が終わっちゃうな」と本音もポロリ。兼本にとっての新シーズンはこれからが本番であり、チャンピオンに相応しい技術を磨くための練習が明日も待っている。