 ウィニングパットを決め、河井はキャディと抱き合って初優勝を喜んだ
第79回日本プロゴルフ選手権大会日清カップヌードル杯
最終日
5月15日(日)
小野東洋ゴルフ倶楽部
(7,158ヤード、パー71)
兵庫県・小野市
参加選手:68人
賞金総額:1億5,000万円
(優勝賞金:3,000万円)
天候:晴れ
気温:21.4度
風向:南南西
風速:5.0メートル
ギャラリー数:8,765人
ギャラリー累計:20,113人
今年度のプロゴルファーNo.1は、プロ16年目、未勝利の河井博大(かわいひろお 39)の頭上に輝いた。2日目から首位タイに立った河井は、好調なパットで連日60台をマーク。最終日も前日首位を分けていた「相文(べ・サンムン、韓国)と激しい首位争いの末、大詰17番でグリーンエッジからの7メートルをパターで直接沈めるバーディーで抜け出した。4バーディー、1ボギーの68、通算9アンダー、275。ツアー初優勝が日本タイトルの選手は、2009年日本オープンの小田龍一以来で15人目(73年以降)、史上3番目の年長記録(39歳6ヵ月2日)。来年から5年間のシードも獲得した。大会2勝目を目指した池田勇太は72で通算1アンダー、5位タイ。4年目で初めて予選をクリアした石川遼は70で通算2オーバー、12位タイだった。
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プロ16年目、涙の初優勝を果たした39歳河井博大
若手がつかむ涙の初優勝は初々しいが、39歳の男がはた目もはばからず涙にくれた初優勝も、日本プロゴルフ選手権の歴史に残る感動シーンだった。河井博大(ひろお)。広島県出身(日大卒)。師匠を瀬戸内高の先輩・田中秀道と仰ぎ、その田中が18番グリーンサイドで待ち受けると、その腕の中に飛び込むようにして感涙にむせんだ。
「もう、うれしいの一言です。最後のパットを入れた瞬間、何も考えられなかった。そのあとに頭に浮かんだのは″やめないでよかったと・・。秀道先輩(1年後輩)にはずっと励まされて、それを信じてやってきた。これで恩返しができました」。グリーン上でのテレビインタビューで、熱い涙をしゃくりあげながらの″第1声だった。田中秀道はこの朝、河井に「お前は絶対勝てないよ」と一言言い残してスタートしていったという。「あれも、優勝を意識させないように、という思いやりだったと思う」と、河井はまた涙をぬぐった。
この4日間、河井はとにかく危ないパットをしぶとく入れ続けた。大混戦となった今年の日本プロ。2日目の67(23パット)で首位タイに立つと3日目も69で首位タイを守った。最終日・最終組。「どのくらい緊張するか分からない」と前日は不安げに語ったのに、フタをあけると競り合う「相文(べ・サンムン)と堂々と渡り合い、追ってくる松村道央、昨年の賞金王・金庚泰(キム・キョンテ)に少しのスキも見せなかった。7番では6メートルを入れて6番に続く連続バーディーにした。長いパー4の15番では、3オンだったが、「あのパットは大きかった」(河井)といった6メートルのパーパットを沈めた。17番(パー3)はグリーン手前のエッジから7メートルをパターで決め、これが並んでいた「(べ)を突き放すウイニングパットになった。4日間とも20台のパット数。平均では「26」というパッティングが初優勝を引き込んだ。2年間使っていたピン型から先週の中日クラウンズから白色のマレット型にしてからまっすぐ構えられて入るようになった。
99年のQTで4位に入り、2000年からツアーに出てシード選手にもなった。しかし、「僕のゴルフスタイルがすべてに否定的で、私生活では思うがままに生きていくタイプなのに、ゴルフになるときっちりやりすぎると秀道先輩からいわれた。考え方も打ち方もすべて変えていかなくては、シードはとれても勝てないといわれた」と。そして教えられたのは「何も考えないで歩きながらボールのところへきたらサッと打て。″無で打っていくんです。難しかったが、そうした訓練でだんだん自分が変わっていった」という。
いったんシードはとったが、そのあとはシード権を落としたり、QTを受験したりと河井のゴルフ人生は山あり谷ありいばらの道だった。2度目のシード権を07年に落とし、QTにも失敗したときは「もうゴルフをやめてほかの仕事を探そうかとも思った」というところまで落ち込んだが、好きなゴルフはどうしてもやめられなかったそうだ。09年にシードを回復(賞金64位)、10年には42位でシードをキープ。3年目の2011年についに大魚をつかんだ 。
日本プロのタイトルでつかんだのは5年間の長期シード権。苦しい道を歩んできた河井にはその貴重さが身にしみた。3000万円の大金も得た。
「もっと自分自身を強くして一流のプロルファーになりたい。″一流とは精神的に強いプロです」−河井の人生は40歳にして大きく変わるかも知れない。
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河井 博大 (優勝 TODAY −3 TOTAL −9)
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「 相文 (ベ・サンムン)(2位 TODAY −1 TOTAL −7)
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SCORE |
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○ |
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コメント
力むこともなく、ベストを尽くせました。
ただ、今回は相手の調子が良かったということですね。
スタートはなかなか調子が出なかったです。後半はパーセーブに努めた感じでした。
河井選手、本当におめでとうございました!
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松村 道央 (3位タイ TODAY +1 TOTAL −4)
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コメント
スタートホールからの連続バーディでいいリズムが作れたんですけどね、5番ホールで流れが変わりました。あれからおかしくなっちゃって、ティーショットをフェアウェイに運べなくなった。左を避けて右に打つことは簡単なのですが、体がバーディを欲しがっていましたね・・・左OBまではティーショットがいってしまったのは想定外でした。
調子プラス優勝争いの流れはいい感じです。今日は河井さんの日でしたね。自分より落ち着いていたし、長い距離を決めるパッティングには恐れ入りました。
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池田 勇太 (5位タイ TODAY +1 TOTAL −1)
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コメント
9番ホールぐらいから運に見放された感じでした。15番はセカンドの距離を長く残してしまいボギー、続く16番であきらめずにバーディがきたり。最後までドラマがあると信じていたけど、厳しいラウンドになりました。
調子があまり良くないなかでも、こうやって優勝争いに絡んでいるからね。
今年は1試合を除いてトップ10に入っているし、早く優勝したいです。
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