PGA社会貢献活動のひとつである『2022PGA HANDA CUP ・フィランスロピー障害者ゴルフ大会』が10月11日に東京にある若洲ゴルフリンクスで開催された。競技は上下肢・聴覚・内部・視覚に障害を持つ80名が7つの部門に分かれ、9ホールストロークプレーの新ぺリア方式による個人戦で行われた。本大会は2013年より国際スポーツ振興協会との共催(協賛)で、日本ゴルフ用品協会、サッポロビール株式会社から賞品協賛といった協力をいただいた。
障害者ゴルフ大会 豪華賞品は参加のモチベーションがあがります

 大会開催にあたっては新型コロナ感染予防対策を講じ、朝7時から部門スタート時間順に分けて、選手や関係者がなるべく密にならないよう配慮し、スムーズに受付手続きができるよう環境を整えた。1組に1名以上のプロが同伴し、ゴルフ談義を中心に和気あいあいとした雰囲気の中でプレーが進められた。PGA会員によるレッスンも受けられるとあり、参加者はプロとの新しい出会いを楽しみにしているようだ。


 東京、千葉地区や公募で集まった会員は39名。中には過去大会に参加していて、現在はプロゴルファーとして活躍している小山田雅人会員、吉田隼人会員や、手話通訳ができる町島久晴会員が大会をサポート。さらにご協賛をいただいたサッポロビール副工場長はじめ社員の方も、協賛していただいたドリンクを選手に配布するなど各所で大会を支えていただいた。














障害者ゴルフ大会

 聴覚部門で優勝した大会初参加の岩崎善徳選手は、数少ない競技ゴルファーとして活躍している。15年前にはQTを受験し、2011年には近畿地区オープンゴルフ選手権でローアマを獲得。現在は日本デフゴルフ協会の指定強化選手として日々向上を目指し、来週10月18日から4日間、米国ハワイ州カウアイ島にあるワイルアマニシパルコースで開催される「世界デフゴルフ選手権」に日本代表選手として参加する。


「今日のプレーはOBが1回、大叩きしたホールもありました。若洲の風の影響もありドライバーショットが左右に流れてしまうこともありましたが、うまくハンディがはまって優勝させていただきました。若洲ゴルフリンクスは3年後にデフリンピックの会場になるということで、出場を想いに描きながらプレーしていました。まずは世界大会で優勝。そしてデフリンピックに出場できるように頑張ります」と、岩崎は決意を手話で表明した。かつてはプロゴルファーを目指していたという腕前をもつ岩崎選手が、世界の舞台に挑戦する姿を応援したい。





 上肢障害部門では出場2度目の鈴木健寿選手が優勝を飾った。若いころから野球、テニス、スキーと様々なスポーツを楽しんでいるという。8年前から夫婦でも楽しめるスポーツをしようとゴルフを始めた。「止まっているボールを打つのがこんなにも難しいのかと、すっかりゴルフの虜になりました。会社を退職してからは、月に3回程度ラウンドに出かけます。練習のし過ぎで右肩の腱板を痛めましたが、こうして優勝もできて、おかげ様で元気です」と笑顔を絶やさない。




障害者ゴルフ大会(写真左黒ウェア)吉田隼人会員

 昨年は選手として下肢障害部門に参加し、今年はPGAティーチングプロB級会員としてプロサポート側で大会に参加した吉田隼人会員は「今までは選手という立場でしたが、今回はプロとして下肢障害を持つ参加者のみなさんのプレーを間近で見ることができて、みなさんがいかに創意工夫をしながらスイングを作っているのかが分かり、たくさんの学びがありました」と言葉をはずませた。

 

 「障害者ゴルフでは、クラブをどうやって使うかということではなく、いかに身体を楽に捻転させてあげるかなのです。身体にムリさせないで、どうバランスをとるか。参加してるみなさんは工夫しながらスイングを作っていて、さらに上手になりたいという意欲が強いですよね。この日を迎えたみなさんの努力が垣間見えてきます」。吉田会員は目を細めて一日を振り返った。



障害者ゴルフ大会(左)小須田選手,吉田会員,山本選手

 パラアスリートとして出場している選手が下肢障害部門に参加し注目が集まった。夏季は走り幅跳び、冬季はスノーボードと二刀流で挑戦を続ける小須田潤太選手と山本篤選手の2名が、ゴルフでもハイレベルのパフォーマンスを発揮した。小須田選手は北京パラ(スノーボード7位)、東京パラ(走り幅飛び7位)に出場。2019年からゴルフを始めてあっという間に70台のスコアが出るようになったという。




 山本選手は北京パラ(走り幅跳び・銀)を始め、ロンドン、リオ(走り幅跳び・銀)、東京パラ(走り幅跳び4位)と4大会連続で出場する鉄人アスリートとして知られる。ゴルフについては大学の授業で知り、これまで100切りを目指す程度だったが、2020年陸上競技合宿の合間にゴルフに触れ、競技意欲が湧いてきたという。ドライバーの飛距離は220ヤード、得意クラブは60度ウェッジ。ゴルフを知った当時とはクラブの種類や理論も増えていて、一気にゴルフの魅力にのめり込んだ。今では週1,2回ラウンドをこなし、今年5月には北陸障害者オープンゴルフ選手権に出場し6位タイという成績をあげている。




 「陸上競技は『良いポイント』で力を入れないとパフォーマンスが引き出せないのですが。ゴルフは力めばいい訳でもないことに気付きました。そうするとスコアにも表れるようになって、さらに上のレベルを目指すようになりました。ゴルフ競技がパラリンピックになれば、もちろん目指したいです」と山本選手は夢を描いている。

 個々の選手にはゴルフに対する様々な取り組みがあり、大会を通じてまたひとつかけがえのない経験が増えたことを願っている。


 ◆ 大会成績は こちら>>(PDF)



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