|
☆ ☆ ☆

トーナメントやレッスン取材の中で会った数多くのプロたち。そのプレー、生き方、考えを知ると人生を知りたくなります。私の場合は、その人生を知る発端はレッスンでした。そのプレーヤーを知りたいと思うとき、その技術、いまでいうスキルや理論をとことん知りたくなる。その人を書こうとすると、その技術が知りたい、生活も、過去も、となる。つまり人生の追求に行きつくのです。スイングは顔である、ということもそのあたりから出ています。スイングはその表情と同じくらいその人を表す。つまり顔なのです。
ゴルフマスコミには不思議な現象があります。レッスン記事が主流というスポーツが他にあるでしょうか。技術が売りになる、いやレッスン記事がないと売れません。新聞、雑誌、テレビ中継の解説、ほとんどレッスンです。
面白いのは生い立ちや苦労話もそこから発生します。「先生のだれだれさんから教わったフェードの打ち方がようやく理解できた、感謝しています」そんな話題が出てくると、先生は何を教えたのですか?覚えるまで10年もかかった?へ〜え。で、どうやってマスターしたのでしょうか、となります。話終わってみると人生が語られているのです。
理事となって1年が経ちました。数多くの経験に感謝していますが、周りはプロゴルファーばかり、名手、名言、があふれて刺激があり興奮します。
昨年最も刺激的だったことは、「PGAティーチングプロアワード」の選考審査の審査員を務めたことです。年一回、斬新なアイデアあふれた「私のレッスン」を発表、その中から最優秀者を選ぶ、昨年で2回目の催しはいい企画で楽しかった。ゴルファーのためになり、ゴルフの開発に役立つ理論や斬新なアイデア、取り組みがレッスンの現場から次々と掘り起こされる。ジャーナリストのひとりとしてはレッスンの宝庫に入り込んだようで面白かった。
☆ ☆ ☆

2009年度は3人が選ばれました。詳細は別掲の今年度の募集要項や技術紹介にゆだねますが、杉山誠さん(62)の「日常生活で覚えるゴルフ」の日常性。藤井誠さん(50)の「スイング軸矯正めがねとヘッド軌道矯正ペットボトル」のアイデア。そして西谷元司さん(49)の「クロスハンドグリップによるスイングの構築」の将来性が素晴らしかった。
杉山さんのゴルフへの取り組みは日常生活にありました。部屋の壁、ゴミ箱、手近にある本、包丁、ほうき。ありとあらゆる日常用品をスイングに役立るアイデアは秀逸。大上段に振りかぶったクラブを正眼の位置までおろし腰を折ってアドレスするとスイングが安定するなどすぐにやれる点がよかった。
審査会では外部理事、監事のアマチュアの審査員が杉山さんに群がって詳細を聞き出そうと躍起になるほど“人気”がありました。杉山さんはもともとスキーのインストラクター出身、重心のかけ方などはスキーをヒントにしてわかりやすかった。
「豪州で教室を持っていたとき私が教えた外人たちがラウンド中に調子が悪くなると大上段からクラブを振りおろす剣道ルーティンをやっているのをみておかしかった」日本の駐在員のためのスクールのコーチでしたが、現地のゴルファーが習いに来たという“人生”がありました。
藤井さんには圧倒される迫力がありました。メガネのフレームに糸(ひも)を付けて垂直にたらし軸を作る「スイング矯正めがね」。ペットボトルを改造した「軌道矯正ペットボトル」を考案、審査会ではDVDのレッスン番組を映し出す映像つきで発表しました。
「ボールをうまく打つことにだけ躍起になるより体の動きを正しく身につけよう」というところからスタートしたアイデア製品は、元が廃品のペットボトルですからいくらでも(?)つくれそうです。出来上がった製品は現在特許申請中。フロリダで3年近く修業した“いまどきしっかり生きるゴルファー”の元気にも感心したものです。
☆ ☆ ☆

西谷さんの「クロスハンドグリップによるスイング」に関するレポートは、利き手の使いすぎに悩むゴルファーが飛びつきたくなりそうな内容でした。クロスハンドは左サイドの復元性、反復性が優れ、その順次性は膝、股関節、肩、ひじ、手首への運動連鎖が行われやすい、と考証します。
順次性とはスムーズにインパクトを迎えやすい、といった意味でしょうか。立命館大学ゴルフ部監督で07年の日本女子学生選手権や付属小学校でのジュニアスクールなど成果をあげた実績は学会での発表を経て信頼感がありました。「右脳、左脳との関連なども研究してほしい」審査員から声が上がったことも付け加えておきます。
受賞したアワードの内容は2月、「ゴルフフェア」会場でデモンストレーションのレッスン会で紹介しましたが、こうした機会を増やし、できれば新聞、雑誌、テレビなどマスコミの目にとめたい、と意図しております。
このアワードが一般ゴルファーへの広がりを見せることへの期待感、それが一番大きい願いといってもいいでしょうか。ティーチングにはシニア、女性、ジュニア、そしてアスリートとそれぞれの対象への対応が必要です。指導の現場は様々なゴルファーが多様な悩みを持ち成果を求めてやってくるからです。
ゴルフビジネスはPGAの大きな柱、なかでもティーチングは1、000万ゴルファー、いやオリンピック種目となってもっと多くなるであろう人々の健康を担う重要な健康産業の根幹です。われわれは国民の顔と人生をまかされてしまいました。
|